英文契約の実務

【Sales & Purchase Agreement】Inspection条項の定め方

Sales & Purchase Agreementにおいて、買主は、製品の受領後、数日(又は数週間)以内に、製品を検査 しなければならず、検査において、欠陥や数量不足などがあれば、遅滞なく売主に通知しなければならない、といった内容の検査(Inspection)条項が合意されるのが一般的です。本記事では、検査条項について条項例(サンプル)を用いて解説します。

 検査(Inspection) 条項の解説 

次に、検査条項についても標準的な文例を見ていきたいと思います。

条項例(サンプル)

Buyer shall inspect the Products within XX days of the receipt of the Products (hereinafter referred to as the “Inspection Period”). If Buyer finds that the Products is defective or non-conforming to the specification, Buyer shall notify the detail of such defect or non-conformance to Seller within the Inspection Period.  Failure of Buyer to give such notice within the Inspection Period shall constitute Buyer’s acceptance of the Products. After the receipt of the notice from Buyer, if Seller determines that the Products is defective or not-conforming to the specifications, Seller shall promptly repair or replace such Products at Seller’s cost.
和訳:買主は、製品について、受領後XX日以内(以下「検査期間」という。)に検査しなければならず、もし、製品について欠陥又は仕様との不適合を発見した場合には、検査期間内に売主に通知しなければならない。検査期間内にそのような通知がなかった場合、買主は製品を受諾したものとみなされる。買主からの通知受領後、売主が製品について欠陥がある、あるいは、仕様と一致しないと判断した場合、売主は速やかに当該製品を売主の費用負担において修理又は交換するものとする。

上記サンプルのとおり、買主が製品を検査する義務及び製品に欠陥等があった場合に買主に与えられる救済措置が定められていますね。

それに加えて、買主は検査期間中に通知しなければ製品を受諾したものとみなされるということも定められていますので、製品の保証期間内であっても、買主が検査・通知義務を正しく履行していなければ、欠陥や仕様との不一致について責任追及することができなくなる可能性があります。

買主は、契約の定めに従い、検査・通知義務を、正しく履行しましょう。

 検査条項は必ず定めるべきか。 

検査条項が定められていない売買契約書も時々見かけますが、検査条項は定めておいた方がよいでしょうか、それとも、製品保証(Product Warranty)条項だけでもいいのでしょうか。

製品保証条項の詳細については、次の記事をご参照ください。

【Sales & Purchase Agreement】 Warranty条項の定め方Sales and Purchase AgreementにおけるWarranty 条項の定め方について、条項例(サンプル)を用いて分かりやすく解説。...

結論からいうと、買主の立場からはともかく、売主の立場からは、検査条項は必ず定めておいた方がよろしいでしょう。

たとえば、あなたの会社が、製品保証期間を「製品の引渡し後3年間」と設定して、取引先に製品を販売するケースを想像してみてください。取引開始から2年と半年ほど経過した頃、これまで販売してきたすべての製品に欠陥があることが判明した場合、もし、検査条項があれば、検査によって発見することができた欠陥については、買主は受諾していたとして、売主は責任を免れることができる可能性があります。一方、検査条項がなければ、買主には製品を検査する義務はなかったとして、すべての欠陥について責任追及されてしまうリスクがあります。

また、そもそも、検査条項があれば、買主が適切に検査を実施することが期待でき、仮に製品に何らかの問題があったとしても、取引開始後、早期に発見される可能性が高くなります。そうすれば、当該取引先との関係のみでなく、他の取引先との関係においても、売主として製品について製品保証責任を負うべき範囲を限定することができます。

このように、検査通知義務について、合理的な内容で合意することは製品の売主にとって、極めて重要なリスク回避手段であるといえるでしょう。

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ABOUT ME
弁護士 辻野篤郎
大阪市立大学ロースクールを卒業後、ヤマハ発動機株式会社に就職。法務・知財部に配属され、M&A、国際仲裁、特許ライセンス、金融法務、グローバルコンプライアンス体制の構築、プロスポーツビジネスなど、国内外の様々な法務業務を経験。その後、名門法律事務所にて、地方自治体、大学、大手メーカー、製薬企業、ベンチャー等への法的助言、英文契約書、技術契約書の作成支援、企業間取引紛争などを担当。現在は、あしたの獅子法律事務所の代表弁護士として活躍中。誰一人取り残されない社会の実現に向けて、外国人への法的支援にも積極的に取り組んでいる。